ワイド3・3・SUNで奈交乗りあるき(その1)


 2月18日から3日間、ワイド3・3・SUNフリーきっぷを利用して、奈良交通の乗り歩きを楽しんできました。あまりに長くなりすぎますので、何回かにわけてお送りしようと思います。

 というわけで、まず第1回目。2月18日の旅日記です。行程は以下の通りでした。

忍海627(163系統・五條バスセンター行き)656五條バスセンター659(50系統・八田東経由西阿田行き)730西阿田746(26系統・五條バスセンター行き)800五條バスセンター820(163系統・忍海行き)853忍海・・・(車・近鉄)・・・山田川駅1116(63系統・南岸経由月ヶ瀬口駅行き)1220月ヶ瀬口駅・・・(JR)・・・加茂駅1310(109系統・JR奈良駅行き)1338近鉄奈良駅1451(48系統・学園前駅行 き)1528学園前駅1553(45系統・けいはんなプラザ行き)1615けいはんなプラザ・・・(徒歩)・・・
光台一丁目1634(36系統・光台循環・祝園駅)1645祝園駅1655(99系統・東畑鳥谷行き)1714東畑鳥谷・・・(徒歩)・・・高船口1813(53系統・富雄駅行き)1847富雄駅・・・(近鉄)・・・近鉄奈良駅1921(50系統・天理駅行き)1951天理駅2010(60系統・桜井駅北口行き)2037桜井駅北口

○早朝の五條へ

 忍海(おしみ)627発、[163]五條バスセンター行きは、後期型MRであった。昼間利用している感覚で、てっきり大型のHUやRUが来ると思ってたのに、意外である。今日の乗り継ぎは、この忍海からスタートである。

 しかし寒い。2月の早朝だから寒いのは当たり前なのだが、バスに乗り込んでも寒い。MRは葛城営業所から出てきたばかりで、暖房は入っているのだが車自身が温まっていないのか、なかなか暖房が効かないようだ。

 MRは、僕一人を乗せ、忍海を出発すると、国道24号線をひたすら南下する。早朝なので交通量が極めて少なく、MRはエンジンをうならせてガンガン走る。MRには、普段はローカルな狭隘路線でお世話になることが多く、広い道をこうして快走する機会が少ない。ある意味貴重な体験だ。

 近鉄御所駅で1名乗車し、寺田橋で降りた。また一人になる。ここを出るとぼちぼち奈良盆地は終わりで上り坂となり、峠越えにかかる。小殿・鳥井戸・船路と上り坂が連続し、MRのエンジン音はいっそう大きくなる。なぜか国道沿いにラブホが2件ほどある風の森で峠を越え、東佐味から下りとなる。MRは、今度は排気ブレーキとエンジンブレーキを利かせながら、やはりエンジンをうならせて峠を降りていく。そのさきには吉野盆地が広がる。

 国道三在あたりで、平坦となりMRも楽になったのかエンジン音が少し小さくなる。656、五條バスセンター到着。次は平日一日わずか4本のローカル路線[50]八田東(はったひがし)・西阿田(にしあだ)行きに乗り継ぐ。

○[50]八田東経由西阿田行き

 五條バスセンター発659の、[50]八田東経由西阿田行きは、3分ほど遅れて702に到着。車両は、RHだった。五條駅(JRは「五条」と表記するが、奈交は「五條」を使用。ちなみに市名は「五條市」)始発だが乗客はなし。僕一人が乗り込んですぐ発車。ひそかに南海太郎を期待していたが、女声放送で少しがっかり。テープは行き先を、「50系統、八田東経由西阿田行きでございます・・・」と案内している。

 バスは、国道24号線を御所方向に向かって出発。国道の栄山寺前停留所の手前の交差点を右折し、県道五條下市線に入る。八田東方面行きの栄山寺前停留所はこの県道上にある。放送によるとここから自由乗降区間らしい。

 栄山寺橋口を出て、少し狭い区間があるが、六倉あたりからしばらく2車線となる。橋を渡り、時々寄り添う吉野川が右から左手に移る。霜が降りた田畑を見ながら阿田橋へ。ここでバス路線は、八田東方面と西阿田方面に分岐しており、左折して橋を渡ると、西阿田へ向かうことになる。このバスは、八田東へ先に向かうためそのまま直進となる。県道は、ここから100mほど改良工事が行われており、幅がバス1台分しかなかった。八田の集落に入り、道幅はやや狭くなる。その集落のはずれとなる八田東は、民家の前の空き地にぽつんとバス停のポールが立っていたのみ。バスを待つ乗客はなく、RHはハザードを出して、その空き地にバックで入り、方向変換してもと来た道を戻る。東吉野の高見平野経由杉谷行きのような感じだ。

 テープの行き先案内は、「50系統、西阿田経由、五條バスセンター行きでございます・・・」というふうに変わり、方向幕もひとコマ回して、「[50]五條バスセンター」の表示に変わった。南阿田で、通学の学生の少女一人乗車。僕が乗っているのが珍しいのか怪しいのか、女の子は僕を振り返って2、3回見ていた。でも行きはよいが、バスの本数が少ないのでこの子、帰りはどうするのか・・・。

 さっきの工事中のところで、普通車とお見合いとなり、こちらがバックして道をゆずる。

 阿田橋で右折して橋を渡る。女の子以外乗車も降車もなく、西阿田到着。僕はここで下車。RHは、三叉路にバックで入り、方向変換してまたもとの道を戻っていった。

○南海太郎を聞きながら国道163号を行く

 西阿田停留所の五條方面行き側で、746発の[26]五條バスセンター行きを待つ。やたらに寒いが、学校へ向かう小学生があいさつをしてくれたりして、なんだかほのぼのする。学校へ向かう女の子2人が加わり、五條バスセンター行きに乗車。

 次の山田口・三在と学生が増える。通路までいっぱいになり、栄山寺前に到着すると、学生はいっせいに降りていった。学生の持っているかばんをチラッと見ると、五條東中学校と書いてあったので、みんな中学生だったらしい。あとで地図を見たら、栄山寺口停留所の前が五條東中学校だった。

 さっき、南阿田で見た女の子も同じデザインの制服・かばんだったので、同じ五條東中学校へ通学するところだったようだ。自分も中学校のときはこうやって通学してたなぁ・・・と少年のころを思い出す。

 五條バスセンターからは、820発の[163]忍海行きで忍海に戻る。車両はまた後期型MRであった。五條方面から葛城営業所に戻るための運用なのだろう。まさか高田五條線で往復小型バスに乗るとは思わなかった。

 次は、一気に近鉄で山田川に移動。3月いっぱいで休止になる、山田川-月ヶ瀬口駅間のバスに乗車しよう。ここは、南海太郎の懐かしい放送テープが健在だそうで楽しみである。

 山田川駅に11時ごろ到着すると、RXとLRが両方とも回送表示で停車中。もしRXがくると、案内放送が音声合成のため、南海太郎の名調子は聞けない。駅前にあるホームセンターでしばし時間をつぶし、発車時間前に戻ってきてみると、11:16発[62]南岸経由・月ヶ瀬口駅行きはLRであった。南海太郎の懐かしい声と、これから始まる163号線の小さな旅への期待に心を躍らせる。

 主婦らしきご婦人2名と、僕を乗せたLRは、定刻に山田川駅を発車。早速「おまたせいたしました。ご乗車ありがとうございます。ろくじゅうさん系統・・・」と、南海太郎氏の声で車内放送が始まる。

 山田川-月ヶ瀬口駅間の路線は、元々は、山田川-上野市間の上野線と呼ばれていた路線の一部で、さらにさかのぼると、近鉄バスが運行していた上野線を、1973(昭和48)年に引き継いだという記録もある。山城地区には奈良交通なのにまったく奈良県を通らない路線が多いが、元々近鉄バスだった路線をそのまま引き継いだからだろう。上野市行きはその後いつの間にかなくなっている。<※1>

 バスは、近鉄京都線の踏切を渡り、路線バスのみが許可されている大型車通行禁止区間を東へ。次の信号を右折して国道163号線に出る。道が広くなったと思ったのもつかの間、途中で右折する163号線を無視し、バスは直進して木津の中心地を通る狭い道へと進入していく。ここも路線バスを除いて大型車通行禁止である。まあ狭いといっても、普通車同士なら余裕で対向できるのだが。

 木津町役場前で、主婦2名下車。乗客が僕一人になったバスは、24号線との交差点で少しだけ渋滞に引っかかる。24号線をこえて、突き当たったところが木津駅で、小さなロータリーがある。駅前には、公立山城病院の大きな建物があり、ちょうどこのバスにも病院や買い物帰りのお年寄りが乗車した。

 ここから加茂町の岡崎まで自由乗降となり、民家もまばらになり田舎の風景になる。鹿背山を出ると加茂町にはいり、左手に木津川が見えるようになる。法花寺野でおばあさん一人下車。

 いつの間にか木津川がはなれていき、加茂の市街地に入っていく。区画整理され、すっきりした町の中を走り、きれいに整備された加茂駅に到着。木津駅から乗ったおじいさんが、なんか車酔いしたようで少し気分が悪いと言ったため発車できず、非常用の袋かバケツを運転者さんが探すハプニングも。乗り合わせたおばあさんが、たまたまビニール袋を持っていたため、これをおじいさんに渡し、何とか発車。路線バスでも、走行距離が長くなると、気分が悪くなる人やトイレに行きたくなる人もいるだろうから、運転するほうも乗せてもらうほうも大変である。

 自分も、3年前に自律神経失調症で体を壊して、乗り物に乗るたび尿意をすぐ催して苦しんだ経験があり(今ではだいぶましだが)、こういう体が弱い人の気持ちが痛いほどよくわかる。病気は、実際自分自身がなってみないと、苦しみはわからないもので、3年前に体を壊していい経験をさせてもらったのかもしれない。

 バスは、木津川を渡り、国道163号線に入る。ここからはひたすら東進する。ふつう、奈良交通の小型バスといえば大型車の走りにくい狭い道路をゆっくりゆっくり走ることが多いように思うが、ここの路線は、南岸経由に限っては、ほとんど狭隘区間がなくかなり状態のいい道路を走るため、結構速度が出ているように感じる。国道に入ってさらに速度が増したように思った。

 おかげで、普段はゆっくり走っているLRの別の顔を見ることができた。チョロQのような、愛嬌のある車体から想像もつかないような、力強い走りを見せてくれる。右手に木津川を見ながらちょっとしたドライブである。

 普段自家用車でこの163号線を走ることはあるが、よそ見できないし、普通車なので車高が低く、あまり景色を見ていない。しかし、こうやってバスに乗ってみると、木津川を見ながら走るのもなかなかよい。対岸を走る関西本線からも、木津川の景色をたのしめるが、163号線側からあらためて見ると新鮮にうつる。

 笠置を出て、北和・山城地区の路線では珍しくトンネルをくぐる。それを抜けた有市口・下有市でさきほどのおじいさんとおばあさんがそれぞれ下車。乗客は自分ひとりになる。運転者さんが振り向いて、どこまでいくか聞いたので、終点までです、と答える。たぶん運転者さんは、僕が物好きなバスファンだということは気づいているだろう。

 乗降がほとんどなかったためか、バスは定刻よりやや早く終点月ヶ瀬口駅に到着した。あっという間の1時間だった。そのまま運転者さんと仲良くなって、折り返し加茂までのせてもらおうかとも考えたが、やっぱりやめた。

<1日目・次のページへ続く>

※1=参考文献:奈良交通のあゆみ(発足50周年記念) 奈良交通

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