東吉野気まぐれ乗り継ぎ



(続き)

○たかすみの湯に入り新子へ

 停留所の時刻表で、約1時間半後に、新子行きがあることがわかったので、それまで、「たかすみの湯」でのんびりすごすことにした。

 東吉野村営の温泉「たかすみの湯」は、高見平野停留所から歩いて2・3分ほどのところにある。広い駐車場には、車が4・5台止まっている程度で、すいているようだ。

 たかすみの湯を訪れるのは2回目だ。はじめてきたときは、車だったのだが、そのときはあいにくの雨だったため、露天風呂はあまり楽しめなかった。

 今回は、いい天気なので、露天風呂にはいると気持ちよく、本当にのんびりできた。中のほうの風呂も、ヒノキでできた浴槽で、こちらもまたいい。ただし、滑りやすいので要注意。

 ゆっくり風呂につかり、ゆっくり休憩したあと、高見平野から新子行きのバスに乗って帰路につく。乗客は自分ひとりで、貸切状態だ。車両は、榛原の日野RHで、「はい、ありがとうございまーす」の言葉に迎えられて乗り込むと、上市にいくか榛原に行くか運転者さんに聞かれた。

 上市と告げると、そこから運転者さんと雑談が始まった。この運転者さん、地元東吉野の人で、かなりの話し好きと見え、自分が桜井から来たというと、昔の木津峠の様子、林業が盛んだったときのこと、若い人がどんどん出て行って過疎化が進んでること、宇陀郡と合併して将来は桜井方面と合併できたほうが良かったとか、いろいろと世間話をしていた。

 鷲家までさっき71系統で走った道を戻り、そこから吉野へ抜ける県道16号に入る。この道は、鷲家川・高見川に沿っており、バスは川の流れと一緒に、吉野川へ向かって下っていく。

 途中の千代橋から、上小栗栖まで常連のおばあさんが乗ったほかは終始貸切。ほとんど1.5車線ほどの道路だが、交通量は少ない。夏になると、鮎釣りに来る車のおかげで、この辺は駐車車両だらけになり、バスが走りにくくなって困るとか。

 この運転者さんのおかげで、新子までの約40分間は、あっという間だった。新子から八木行きには15分ほどの乗り継ぎで、運賃は通算できるとのことだったので、下りるときにバスカードに乗り継ぎ証明をしてもらった。

 新子の待合室で、トイレを済ませて、発車時刻5分ほど前にのりばへ。といっても八木行きの方向にはバス停ポールがないので、さっきの運転者さんに教えてもらった、化粧品屋の前の定位置(?)で待つ。

 乗り継いだ[85]八木駅ゆきも、日野RH。こちらは吉野所属の座席が多いバージョンだが、今日は、菟田野町からずっとRHだった。

 この八木駅行きでも、また乗客は自分ひとり。右手に時々見える吉野川を見つつうとうと。宮滝で、国道169号に出ると、男性一人乗車。バスは、ここから、ひたすら169号線を橿原方面へ走る。

 橿原と川上村を結ぶこの路線は、吉野営業所が担当する路線でもかなりの距離を走り、本数も比較的多く、まさに、花形路線といえると個人的には思う。平日の昼間であれば、乗換えを嫌うお年寄りを中心に、川上から橿原方面への直通需要もかなりあるらしい。土曜日のこの時間だったから、たまたま利用が少なかったのだろう。

 途中、上市駅に寄り道。急な坂をあがる。ここで、宮滝からの男性下車。またひとりぼっちになる。

 再び169号線に戻り、新野で中学生くらいの少女が乗車。大淀バスセンターで降りた。運転者さんは、乗車・降車のたびに、「ありがとうございます」と丁寧に声をかけていて、非常に好感を持てた。たぶん新人さんなのだと思うが、いつまでも初心を忘れず、がんばっていただきたいものだ。

 橿原神宮駅付近になると、いつもどおり、流れが悪くなり、四条の交差点で渋滞。医大病院前から再び渋滞で動かなくなるのもいつものこと。本当にどうにかならないものかといつも思う。

 交通渋滞が慢性化すると、バスの定時性が失われ、乗客離れにつながる恐れがある。実際、奈良-五條・下市直通バスがなくなり、八木で系統が分割されたのも、24号線の渋滞による遅れをほかの線区に、拡大させないためだったし、そのあと、八木-奈良間のバスが減便され、ついに休止となったのも、渋滞による慢性的な遅れが、間接的な原因になっていると思う。

 バスは、10分ほど遅れて(それでも早いほうだと思う)、八木駅に到着。橿原市内に入ってから、乗車があったので、降りた乗客は僕を含めて6名ほどいた。

 今回、結構貸切状態になる場面が多かった。田舎でバスに乗る人ってこんなに少ないのか、と厳しい現実を改めて思い知らされた一日でもあった。

前のページに戻る バス旅日記メニューに戻る



SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送