太陽の光と海風を浴びて〜『やまと号』徳島行き〜



 昨年(2006年)6月末に徳島バスと共同で運行を開始した高速バス徳島線。

 まもなく開業から1年たつ5月、埼玉線廃止により余剰となった3列シート車が徳島線に投入されたとの情報を知人よりもらった。

 5月末、ちょうどバスファンの友人たちと四国に行く機会に恵まれ、せっかくなので試乗をかねて高速バス徳島線に乗車してみることにした。 <写真は特記以外すべて2007年5月26日/管理人撮影>

近鉄奈良駅8番

近鉄奈良駅にて乗車扱い中の徳島行き
元夜行高速用の車両だ
<近鉄奈良駅>

○静かな旅立ち

 8:30過ぎ、近鉄奈良駅8番のりばで待ち合わせていた友人2人と合流。こう書くと、スムーズに合流したように見えるが、実は最初乗り場がどこなのかまったくわからず少し戸惑った。
 大半の高速バス・定期観光バスが発車する奈良ラインハウスの前は当然進行方向とは逆方向だから徳島行きの表示はないわけだが、せめてラインハウスの前に徳島行きののりば案内を記してほしい。ラインハウスの待合スペースに入ってもざっと見渡す限り徳島行きの案内はないし、徳島行きのチラシを見つけてようやくああ8番乗り場なんだとわかった次第。
 本当に徳島線に力を入れているなら乗客の立場になった配慮もほしい。

 8:40すぎ、奈良公園方向からやまと号表記のセレガR272号車が静かに到着。ゲレットをさす部分に[奈良-徳島]のサボがついている。
 近鉄奈良駅で徳島行きを待っていたのは、僕たちのほかに一人だけ。結局合計4名での出発となった。土曜日の朝ということもあり駅前の人通りもまばら、交通量も少なく静かな旅立ちである。

 運転者さんには僕たちがバスファンであることがわかったらしく、出発時からいろいろと話しかけてきた。以降いろいろと面白い話を聞くことになる。

○大阪にも立ち寄るが・・・

 JR奈良駅10番のりばでいったん停車。お客が一人来る予定だが姿がないとのこと。とりあえず発車時刻まで待機し、運転者さんが営業所と連絡をとった結果、やむをえないということでそのまま出発。

 このあと大宮通り・阪奈に出て、新大宮駅・奈良市庁前・阪奈菅原・阪奈宝来と乗車扱い停留所があるが乗車なし。いったん阪奈を降りて学園前駅に立ち寄る。1名乗車。藤の木台四丁目を通過すると、第二阪奈へと入っていく。で、乗ったと思ったら、小瀬のインターで降りて第二阪奈生駒に立ち寄る。乗客なし。ここで奈良県内の停留所は終わりで、あとの乗車はは天王寺だけ。

 再び第二阪奈に乗ったやまと号は、程なく府県境の阪奈トンネルをくぐり大阪へ。今日は道路がすいていると運転者さん。阪神高速を通って天王寺には定刻に到着。駅の前に止まるのかと思ったら、天王寺公園の前で近鉄やJRの駅から少し離れている。やはり他社とのいろんな関係で駅前には乗り入れできなかったのか。ここで10分ほど停車するが乗車1名。天王寺より難波のOCATに乗り入れすることができればもう少しお客を拾うことができたかもしれない。

 やまと号は6名の乗客を乗せ、定刻に天王寺を出発した。

天王寺にて

天王寺は駅から少し離れた動物園の前が停留所
ちょっとわかりにくいかも。
市バスと共用なのでこのような風景も。
<天王寺>



○潮風を受けて

 阪神高速湾岸線を走り、住吉浜でいったん降りて京橋から神戸線に乗り継ぎ。神戸線はやや流れが悪いがいつものこと。程なく流れ出した。
 垂水ジャンクションからいよいよ神戸淡路鳴門自動車道へ。トンネルを抜けると目の前に明石海峡大橋の巨大な橋脚とつり橋のワイヤー群が現れた。久しぶりに通ったがやはりでかい。天気がいいのに、黄砂の影響で遠くまで見渡せないのは残念だが、それでも海の上をのんびりとバスで走るのはなかなか気持ちいい。
 あっという間に明石海峡を渡りきると淡路サービスエリアで15分の休憩となった。もうすでに12時前だったが、なんか腹が減ったのか減ってないのか判然としない。それでも屋台で売ってたたこ焼きがおいしそうだったので、買ってたべる。後の2人もおいしそうに見えたのかそれに従う。大きなたこが入っていて結構うまかった。

明石海峡大橋をわたる。この橋のおかげで四国は本当に近くなった。
<明石海峡大橋>

天王寺にて



 バスに戻ると運転者さんが記念撮影をしてあげようと言う。ご厚意に甘えて3人でバスの前で記念撮影していただく。そのあと、運転者さんとしばし談笑。なんだか半分僕たちの貸切みたいだ。ある意味贅沢かも。

 定刻に淡路サービスエリアを出発。その後も順調に進む。やや眠くなったので、3列シートの寝心地を少し試す。さすが夜行仕様。背もたれが深く倒れてくれるので仮眠には十分。長い道のりもこれなら快適に過ごせる。

○淡路島から四国上陸

 途中、進行方向左手に海が見えていたのが、右手に見えるようになって一瞬頭の中が『???』となるが、ただ単に高速のルートが淡路島の東岸から西岸に移っただけのことだった。
 うとうとしているうちに次は大鳴門橋の橋脚が見えてきた。これを渡れば四国に上陸だ。橋の下を行き交う船を見ながら大鳴門橋を渡ると四国へと上陸した・・・といいたいところだが橋を渡りきったところはまだ四国の本土ではなく小さな島。

 やまと号は鳴門北インターで降りると、小鳴門橋のバス停へ。徳島バスの営業所になっているようで休憩中のバスが数台見える。そして小鳴門橋を渡るとようやく四国本土に上陸となった。片側3車線の立派な国道11号線へと出て、バスターミナルや道の駅らしきものがある松茂で1名下車。そして吉野川を渡ると、程なく終点の徳島駅に到着した。時計は13:20すぎ。少し遅れたとか言ってたが、十分定刻の範囲だと思う。運転者さんはこのあと交代して宿泊。バスだけが日帰りするとのこと。

 近鉄奈良から4時間半の旅は最初長いように思ったが、バスに乗っているとあっという間だった。3列シートも非常に快適で疲れを感じなかった。乗客が少ないのが非常に残念だ。

 
近畿と四国が淡路島を介して2本の橋で結ばれ、所要時間が本当に短くなった。こうやってバスに乗ってきてみると海を渡ってきた実感がわかない。本当に四国に来たのかと思ってしまう。

 高速バス徳島線。この先どうなっていくのだろう。1便10人ぐらいで採算ラインに乗るとよく聞くが、平均10人乗っているだろうか?短命に終わらないよう、健闘を祈りたい。

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