名阪国道をRXが行く



 2005年4月、三重交通の上野山添線でダイヤ変更が行われ、上野産業会館-菅生(山添村)間の路線が朝の菅生発の片道一本を除いて廃止となり、その代替として上野天理線のバスが国道山添-治田インター間を名阪国道を経由せず上野山添線の経路で運行することとなった。(奈良交通・天理上野線は従来どおり)
 しかも、車両はそれまで使用されていた特急車両ではなくマイクロバスの日野RXに変更されている。
 天理駅に三重交通のRXが乗り入れるのは珍しく、これは一度乗りにいかないと!と思い立ち早速乗りにいってきた。
<写真は特記以外すべて2005年6月19日/管理人撮影>

天理駅

奈良交通バスに混じって天理駅で待機中の三重交通のLR493号車(社番不明)
デビューして間がないとか。
このときはRXではなくこの車両が運用に入っていた。
<2006年1月3日撮影 天理駅>

○天理駅で異彩を放つマイクロバス

 12:30ごろ、12:40発の[60]上野産業会館行きに乗るべく、天理駅前に立った。
 バスプールにはすでに三交カラーのRXが休憩しており奈良交通の大型バスに混じってちょこんととまっている。よく考えてみれば、定期で天理駅に路線のマイクロバスが乗り入れるというのは珍しいことではないだろうか。おまけに三交カラーだから余計に目だっているように思う。
 発車5分前になり、三交カラーのRXは「(60)上野産業会館」の行先表示を出して乗り場にすえつけられた。その方向幕にはかつて特急車が表記していた「特急」の2文字はなかった。

○RXで行く名阪国道

 上野産業会館行きは僕を含めて3名の乗客で発車。次の天理中大路で1名乗車。この乗客は三交のバスカードを持っていた。
 国道山添までの停車停留所は従来と同じで、天理中大路・別所・国道櫟本の順に停車したあと、名阪国道に入り、国道岩屋・国道五ケ谷・国道福住・国道針・針インター・国道小倉・国道切幡・国道神野口・国道山添の順にいく。国道一本松通過も従来どおりだ。
 やや混雑気味の天理街道(国道169号線)を北上し、天理インターからいよいよ名阪国道へと入っていく。
 思ったとおりやはり身軽な印象を受ける。五ケ谷のあのΩカーブもすいすい上がっていく。
 国道福住で1名下車。その後の合流もかなり加速がいい。運転者も大きい特急車よりも乗用車感覚で運転できるRXのほうが乗りやすそうに思うのだがいかがだろうか?
 その後国道針で2名下車すると、乗客はしばらく自分ひとりになった。
 バスは、針でいったん名阪国道を降りて西日本最大といわれる道の駅「針TRS(はりてらす)」内にある、針インター停留所に立ち寄る。針TRS内の駐車場は休日のためか混み合っているが、停留所で待つ乗客はいない。RXは徐行で通過。再び名阪国道に戻る。
 その後も乗車がないまま名阪国道を進み、山添インターで名阪国道を降りた。RXの非常に軽快な走りを堪能できたひとときだったのと同時に、マイクロバスでも十分事足りるという現実を見せ付けられ少し寂しい思いがした。

○名阪を降りると別の顔

 山添インターを降りたRXは右折して一般道へ入り、奈良交通東山線の方の「国道山添」停留所に立ち寄る。この先は廃止となった三重交通・上野山添線の代替バスの役割を果たす。国道山添で乗客2名乗車。老夫婦のようだ。その次の大西でお年寄り2名乗車。国道山添と大西停留所は奈良交通の標柱を共用しており、奈良交通の時刻表の下に三重交通の時刻表が並べて掲示されている。みなさん顔なじみなのか話が弾む。一気に車内はローカルバスの雰囲気になる。
 バスは国道25号線とは名ばかりの田舎道をのんびりと進む。奈良交通の車庫がある中峰山で一人乗車。車庫ではLRとMRが休憩中だった。
 集落がある関係なのか波多野神社前付近のみ道幅が狭くなる。左カーブになっており、見通しも悪い。マイクロバスだとこんなところも比較的走りやすいが、大型バスだとかなり走りにくいだろう。波多野神社前でも一人乗車。
 波多野神社前を出ると民家が途切れ、下り坂となる。少し走ると名阪の五月橋インターに出た。遅瀬口停留所はインターの最寄になる。川沿いにカーブがつづき、2、3件の民家と歯科医院、それに古いトラス橋が見えると五月橋。一人下車。奈良方面から来る奈良交通のバスは、通常、手前の北野・中峯山・波多野郵便局前で折り返す。奈良交通バスが五月橋まで来るのは一日一往復のみだ。なおこの五月橋発のバスには後ほど乗車するので、後ほどその模様を紹介しよう。
 バスは右折して、古いトラス橋を渡る。これが五月橋らしい。この橋(というか下を流れている名張川)が県境となり、三重県伊賀市に入った。伊賀市は昨年10月に、上野市・島ヶ原村・伊賀町・大山田町・青山町・阿山町が合併して誕生した市である。いわゆる平成の大合併のひとつだ。
 山間部の雰囲気から徐々に平野部の雰囲気へと変わり、伊賀盆地に入ったことを実感する。5分ほどで治田インターへとさしかかり、再び名阪国道を走り始める。
 名阪上野ドライブインのある国道大内で1名乗車。奈良県内の名阪国道は、道路上に停留所のスペースが設けられているところがほとんどだったが、三重県内に入るとなぜか、いったんインターを降りたところに停留所が設けられているところがほとんどで、路線バスは乗降がなくてもいったんインターをおり、乗降がないことを確認して、また本線に戻るという手順を踏んでいる。ここの国道大内もそうだった。  国道大内を出ると、次の上野東インターで名阪国道を降りる。ここから先は、以前は奈良交通・三重交通とも桑町・上野産業会館の順に停車していたが、現在は三重交通便のみ各停留所に停車するように改められている。奈良交通便は従来どおり、桑町・上野産業会館の順の停車だ。
 インターから10分足らずで、終点の上野産業会館に到着した。

旧上野市内

 上野産業会館から天理駅を目指す。
基本的に各停留所に停車

 上野東インターにさしかかる。
ここから大阪方面へ

上野東インター1
上野東インター2

いよいよインターの入り口に入り・・・

 名阪国道の本線に合流

上野東インター3
名阪国道

名阪国道を時速60キロを守りながら走る

治田インターで名阪国道を出る

治田インター
25号旧道

治田インターを降りたあとは25号旧道を行く。
これも名阪国道と同じ国道25号線。



○五月橋から東山線を行く
 上野産業会館到着後、近くの喫茶で遅い昼食をとる。14:55発の(60)天理駅前行きで、もと来た道を引き返す。またRXだが、さっき乗ってきた車両とは違う。
 上野東インターから名阪に入り、治田で降り、上野から20分ほどで五月橋に運ばれる。先ほども書いたが、周囲はバス停前の歯科医院と2件ほどの民家が見えるのみ。たまに車が通り過ぎる程度だ。なんにもない。奈良交通バスのバス停には一日一本の15:29発下水間行きの時刻が記されているものの、本当にバスが迎えに来るのか不安になる。時計は15:30を過ぎ、本当に不安になってきたころ、下水間のほうからLR301号車がやってきてほっとする。運転者さんは珍しそうにこちらを見ている。

 これが「五月橋」。奈良県側から撮影してみた。
下を流れるのが名張川で県境となっている。

五月橋1
五月橋2

五月橋の停留所の様子。奈良方向に向かって撮影。
画面右手に三重交通、左手に奈良交通のポールが立つ。

 15:30ごろ、LR301号車がやってきた。
車体の小ささを生かして交差点でうまく転回した。

五月橋3



 LRは五月橋の交差点を使ってくるっと転回し、僕一人が待つ五月橋停留所に停車した。ただ一人の乗客を乗せたバスは、すぐ発車。やはり珍しいらしく、運転者さんが話しかけてきた。この路線もやはり山添村の補助が出ているそうで、補助がなければ赤字らしい。「補助がなかったらこんなバスとっくになくなってるよ。」「山間のバスはもうあかんね。」などというお話を聞きながら、LRはゆっくりゆっくり「国道25号線」をすすむ。
 ここで面白い情報をキャッチ。この辺の山間部を専門に走るバスはスタッドレスタイヤを装着しているそうだ。タイヤを見れば、山間部専用かどうか見分けがつくとのこと。ちなみに今乗っているLR301号車は、今スタッドレスタイヤを履いているとのこと。だいぶ磨り減ってしまっているために、そのままはきつぶし、12月ごろに新品のスタッドレスに交換するのだとか。
 運転者さんのお話を聞きつつ、バスは乗り継ぎ地点の下水間に到着。ここから奈良市だが、学園前と同じ奈良市内とはとても思えないような田舎だ。JR奈良駅行きのLTが客待ち中だった。LR301号車は僕を降ろすと、すぐに田原方向に走り去った。

 下水間からは今日の乗り歩きで初めての大型バスとなる。下水間を発車したLTはダイヤに余裕があるのか、早発しないようにゆっくりゆっくりすすんでいく。後ろからどんどん自家用車が追い抜いていくが、マイペースで我関せずといったところか。

 水間峠をトンネルで越えて田原地区に入ると、田原横田などの集落で乗客が次々に乗車してきて車内に活気が出てくる。

 須川からこの東山線の難所(?)鉢伏峠の連続カーブを下っていく。ゆっくりゆっくり連続したカーブを下りきると、一気に奈良の市街地に入り、17時ごろには終点のJR奈良駅に到着していた。同じ東山線でも下水間を境にまったく違う雰囲気を感じた。

 今日半日で天理〜伊賀〜奈良とローカルバスで移動してみたが、いろいろな発見があり新鮮だった。また機会があればじっくり回ってみたい。ただ奈良交通の東山線の末端区間がいつまで存続するのか怪しいところだが・・・。


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