春の諏訪湖畔を行く



 信州にもようやく春が訪れた。
 ちょうど桜が満開になり、天気もよくなったので、あてもなく小さな旅に出てみた。
 奈交と同じくここでもあるローカルバスがなくなろうとしていた・・・。
<写真はすべて2005年4月17日/管理人撮影>

○もうすぐ廃止・JRバス諏訪線

 13:30ごろ、あてもなく中央東線・岡谷駅に降り立った。岡谷市というぐらいだから何かあるだろうと駅前に出てみるが、なんと言うか・・・さびしい。人が少ない。立派な駅前広場があり、デパートのような大きな建物もあるが、そこも人の出入りがあまりない。早速、バスのりばでバスの行き先・時刻をチェック。新宿行きの高速バスと、諏訪バス・JR関東バス、それにコミュニティーバスがあるらしい。どれもそんなに本数は多くなく、1時間に1本来ればいいほうか。

岡谷駅前1岡谷駅前2
岡谷駅前3岡谷駅前 整備されているのだがどこかさびしい

 その中で気になる掲示を発見。JRバス諏訪線廃止の告知であった。奈良交通グループだけではなく、ここでも不採算路線の切捨ては行われているらしい。ただし、JRバスが走らなくなってもほぼ同じ区間を諏訪バスが運行しているため、廃止後は諏訪バスがダイヤ改正をして対応するらしい。

告知1諏訪線廃止の告知
諏訪バスが継承
告知2告知3

 14:30に上諏訪清水町(かみすわしみずまち)行きというのがあるみたいなので、最初で最後のJRバス諏訪線に乗ってみることに決めた。すでに、駅前広場には、富士重ボディのふそう中型が止まっていて休憩しているようだった。

 遅い昼飯でも食べようかと、なんとなくぶらぶら歩いてみるが、入ってみたくなるような店もなく、結局駅の近くに1件だけあるコンビニでおにぎりを買う。あとで気づいたのだが、岡谷は「うなぎのまち」なのだとか。なんだそれなら、うな丼試食したらよかった、とも思ったが、ん?待てよ、そもそも諏訪湖でうなぎというのも聞いたことがない。帰ってから調べてみたら、やはり「うなぎのまち」と言いはじめたのは平成8年のこと。昭和30年代まで、このあたりでうなぎが大量にとれたそうで、もう一度うなぎで町おこしをというのが狙いのようだ。ちなみに岡谷商工会のサイトを見る限りでは現在諏訪湖でうなぎがとれるような記述は見当たらない。

 しばし駅の待合室などで時間をつぶし、いよいよ14:30発、諏訪線・上諏訪清水町行きに乗車する。僕のほかにバスファンらしき人が一人と、地元のおじいさんが一人乗車。バスは2扉ながら、神奈中のように前乗り前おりだった。

上諏訪清水町行きが到着
ツバメマークの路線バスはもうすぐこなくなる
<岡谷駅>
上諏訪行き乗車風景1
上諏訪行き乗車風景2

 3名の乗客を乗せたバスは、駅前を出るとこれまた人影の少ない町の中を、ゆっくりと走り始める。岡谷市役所前で待合室に4名ほどの老人が座っていたが、こちらのバスに乗る様子はなし。高速バスも停車するので高速バスを待っているのか。

岡谷駅出発
JRバス車窓から岡谷駅舎を望む
<岡谷駅>


諏訪バスと行き違い
廃止後はこの諏訪バスが引き続き運行
<岡谷駅-小部沢前>
諏訪バスとスライド

 駅から10分ほどで国道20号線に出て、諏訪方面に走り始める。道路の流れは意外とスムーズで、きもちいい。社東町(やしろひがしまち)・春宮(はるみや)・大社通(たいしゃどおり)と、有名な諏訪大社の地元らしい地名が続き、承知川(しょうちがわ)で岡谷からのおじいさん下車。

 中央東線の踏切を渡り、諏訪湖に近づく。ちょうど踏み切りを渡ったあたりから諏訪湖を見渡すことができた。天気がよく気持ちいい。

国道20号から見た諏訪湖
JRバス車窓から諏訪湖を望む
<高木下-東高木間>

 大和下で中年の女性一人乗車。幹線の国道20号線を走っているにもかかわらず、乗客は3人。末期の奈良交通92系統・奈良-八木間のバスのことを思い出した。あのバスもひたすら国道24号線の混雑区間を運行していたが、定時性が確保できず、沿線の利用者も少なく、乗客離れが進んで、最後は八木-横田間に短縮されて消えていった。ひょっとしたら、幹線をひたすら走るというのが実は利用者のニーズにあっておらず、だめなのかもしれない。

 30分ほどで観光客でにぎわう上諏訪駅に到着。中年女性が下車し、岡谷からの男性と2人になる。バスはさらに国道20号線を走り、3つ先の上諏訪清水町に到着した。車庫や転回場があるのかと思ったら、周りに商店などが建つ、国道上の普通の停留所で私ともう一人の男性を降ろすと、すぐに走り去り、諏訪湖方面に右折していった。


国道上にある終点に到着
バスはすぐ走り去った
<上諏訪清水町>
上諏訪清水町

○諏訪のコミュニティーバス

 JRバスが走り去った方向になんとなく歩いていってみる。途中で諏訪市のコミュニティーバス「かりんちゃんバス」に出会う。三菱BEを使用していた。しばらくとぼとぼ歩くと、清水町野球場前というかりんちゃんバスの停留所に到着。15:15に上諏訪駅方面に行くバスがあるらしい。時計を見たらすぐ来るみたいなので運がいい。

 ほぼ時間通りにあらわれたかりんちゃんバスは、BEではなく、日野RBだった。ただしエヌシーバスにあるようなタイプではなく、RXのようにトップドアになっているタイプだった。諏訪バスが受託運行しているのが車内の表示などでわかった。

高島城の桜
高島城の横を走る
桜が満開
<高島城前>

 バスはひたすら裏道のようなところをすいすい通り抜け、諏訪市役所へ。そのあと、桜が満開の、高島城前をとおり、諏訪湖のヨットハーバーに出た。諏訪湖畔の道路は、休日のせいか混雑していたが、横道にそれて病院に寄ったりするので、大して遅れはないようだ。混雑のおかげでゆっくり車窓から諏訪湖を眺めることができた。乗っているだけで、諏訪の見所を回ってくれているような感じでありがたい。


諏訪湖畔を走る
<ヨットハーバー前-日赤病院間>
諏訪湖畔を走る
上諏訪駅
上諏訪駅諏訪湖口に到着した日野RB
ほかに三菱ローザ(BE)も使用
<上諏訪駅諏訪湖口>

 温泉街の狭い道路に入り、20分ほどで上諏訪駅諏訪湖口に到着。料金は150円で、ちょっとした定期観光バスに乗せてもらったような気分で、非常によかった。ほかに、諏訪湖をぐるっと回る「スワンバス」というのもあるらしく、こちらもよさそうだ。今回は時間がないので断念したが、次回機会があれば利用してみたい。

上諏訪駅2
上諏訪駅諏訪湖口に建つバス停標柱
三種類ある
<上諏訪駅諏訪湖口>

 今回、廃止となる路線バス・廃止代替バスをかねたコミュニティーバスと2種類のバスに乗車してみた。路線開設当初と現在では、やはり人々の生活スタイルも変わってきているだろうし、いつまでも同じルートを走っていると、需要がなくなってくることも十分考えられる。駅前の商店がさびれ、郊外型の店が繁盛しているのも、人々の生活スタイルが変化しているからで、路線バスもお客のニーズを理解して、これから路線を改変していく必要があるだろう。コミュニティーバスはその辺をよく理解して、路線が引かれているからか、そこそこ利用されているように見えたし、ちゃんと需要があるところに路線を引けば、利用が期待できることもあるかもしれない。


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