冬の天川を訪ねて
(その2・[7]中庵住<なかいおすみ>行き)




 2004年2月1日の旅日記です。

黒滝案内センターで発車を待つ中庵住行き
◆黒滝案内センターで発車を待つ中庵住行き




○下市口駅前・梅川すし店

 開いてる・・・営業してるよ・・・。

 友人の運転者の勧めで、バス旅のついでにいつも立ち寄ろうとするこの店。

 僕が行くときに限っていつもシャッターが下りていたり、時間が合わなかったり。そんな梅川すし店。

 でも、今日は違う。営業してるよ。日替わり定食の看板が出てる。

 今日の旅はこの梅川すし店の昼食からスタートである。

 12:40ごろ、下市口駅前に到着。梅川すし店が営業しているのに感激し(おおげさか?)、おなかもすいていたので、早速店ののれんをくぐる。

 今日の日替わり(680円)は、さばの塩焼きとのことだったので、じゃあそれで、と注文。しばらくして出てきた定食。さばのほかに小皿が2皿ほどあるのがうれしい。一皿はマーボ豆腐、もう一皿はマグロの赤身をわさびしょうゆであえたものだった。

 さすがおすし屋さん。塩焼きがうまい!!マグロもうまい!!この値段でこの内容はすばらしい。ご飯もおかわりできるそうで、たくさん食べる人にも非常にありがたい。

 ここの食堂は弁当もやっているそうで、僕が店に入ったときも、運転者さんが一人弁当を買いに来ていた。電話して事前に申し込んでおけば、できたてを渡してくれる仕組みらしい。

 食事を終え、駅前をうろうろ。駅前の奈良交通下市案内所の横に待合室があるのを発見した。案内所は休みだったが、待合室は開放されていたので、中におじゃまする。

 中にはバスの路線図が掲示されていた。なぜか今木線が消されずに[91]近鉄御所駅の行き先が残っていたり、中庵住以遠に破線で広瀬まで路線が書かれ、デマンドバスなどとかかれていたりして、非常に興味深い(あとで友人にデマンドバスについて聞いたら、今でも月に何回か利用者があるとのことだった。天川村の役場で利用券をもらった人だけがデマンドを利用できるそうだ)。

 時間がたつのをしばらく忘れ、路線図を見入ってしまった。

路線図1
路線図2
路線図3
◆下市口駅待合室にて 古い路線図


○厳寒の天川へ

 14:10すぎ、待機場からRXが出てきて駅前バスのりばに到着。運転者は例によって友人である。

 僕のほかに3名乗車。うち2名は若いカップルで、さっき梅川すし店でも食事をしていた。明らかに観光客であるが、さてどこへ行くのか。

 14:17ごろ発車。いつもの下市の狭い道をゆく。下市本町で、お年寄りが1人下車すると、乗客は僕とカップルだけになった。

 今日は比較的暖かいのだが、天川は、やはり雪が残っているという。ただし昼間は凍結してないのでチェーンはいらないとか。やはり、天川は別世界である。

 岩森から、国道の旧道のほうに入ると、乳屋辻付近で斜面の補修工事が行われており、片側交互通行となっていた。足場の鉄骨がはみ出ており、その分、幅が狭くなってしまい、RXでもぎりぎりである。友人は慎重にRXを操り、工事区間を通過。

 広橋峠で、天川方面からのRXと対向。運転者同士、笑顔で挙手をかわす。

 オフシーズンで車も少なく、路面の状態もよいので、順調に走り、黒滝案内センターには、やや早めに到着。14:02の発車までしばらく停車します、と放送を入れ休憩となった。

 中戸行き連絡となっており、程なく黒滝専属のRX544号車が到着。友人はしばらく専属の運転者さんと雑談を交わしていた。

 定刻より少し遅れて発車。あの人話長くて、なかなか離してくれないんだわ・・・とあとで苦笑していた。

 RXは笠木トンネル・新川合トンネルと快調に走り天川村へ。急に残雪が目立つようになる。2日ぐらい前に降った雪らしい。天川川合からは、自由乗降のオルゴール「峠のわが家」を流しながらゆっくり走る。路肩に固められた雪の山が、2日前の雪の量を物語っている。

 天河大弁財天社でカップル下車。帰りのバスに乗ってくるだろうか。ここから僕だけの貸切状態となる。

天河大弁財天社付近
◆残雪のある天河大弁財天社付近を行く 道幅も狭い




 RXは、さらに未改良区間の残る県道を進む。途中左手に九尾ダムのダム湖が見えたが、なんか白い・・・。なんと凍ってるではないか! これには友人もびっくり。凍ってるのなんかはじめてみたわ!と非常に驚いていた。天川の冬の厳しさを改めて思い知らされたひと時だった。

九尾ダム
◆氷の張った九尾ダム




 日陰の部分はまだ圧雪が残っているところがあり、わだちの部分はとけているものの慎重に走る。ガードレールのないところもあるので、暗くなると本当に怖いだろう。

日陰の圧雪路
◆日陰には圧雪が残る




○折り返し時間は洗車タイム?

 15:50ごろ、終点中庵住に到着。折り返しの17:10発まで、1時間20分の休憩となる。この間に、雪で汚れた車体を簡単に洗ったり、掃除したりして時間をすごす。手の届く部分はワックスがけまでしていた。寒い中、本当に大変だ。

中庵住車庫
◆中庵住の車庫に到着したRX

中庵住バス停
◆中庵住停留所 雪が残っている


「いやあ・・・八木まで行ったら、葛城の車はぜんぜん汚れてなくて、うちの車だけ汚いんやわ。しかも営業所に帰って洗車しようとしたら、洗車機が凍って水が出えへんし、水道も凍っとるし・・・洗車できへんねわ。」

なるほどいろいろ苦労がありますなぁ。

残った時間は、いろいろと雑談。ふだんなかなかゆっくり会えないので、貴重なひと時だった。

中庵住路線図
自由乗降看板
◆中庵住車庫に残る古い路線図と自由乗降案内




 あっという間に1時間あまりが過ぎ、RXは僕だけを乗せて定刻に発車した。さっきカップルの降りた弁財天社は乗車なし。おそらく民宿どまりなのだろう。天川川合・黒滝案内センターも乗車なし。岩森まで来て、やっと勤め帰りらしい女性一人乗車。下市口駅で下車したのは僕とその女性の2名だった。

 年末の洞川、そして今回の庵住と、冬の天川を訪ねる小さな旅をしたが、改めて天川の冬の厳しさを思い知らされた。新しいトンネルが開通して、気軽に車で行き来することができるようになったが、昔は大変だったろうと思う。実際、冬の積雪時は笠木から先の峠をこえることができず、バスが運休になったこともしばしばあったという。現代の土木技術に感謝感謝である。

 これからも、天川村が人々にとって住みやすい村になっていくことを願う。



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